カフェのロイヤルティプログラムを設計する
カフェのロイヤルティプログラムとは、また来てくれたお客さまに報いる単純なルールです。お客さまは買い物ごとにスタンプやポイントを集め、目標に達するとお店からサービスを受け取ります。このガイドでは、形式の選び方、スタンプの数、無理なく出せる特典、レジでの始め方、始めたあとに見るべき数字を説明します。
カフェに合う形式
よく使われる形式は3つあり、それぞれ合う買い方が違います。
| 形式 | 仕組み | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| スタンプ | 来店ごと、またはドリンクごとにスタンプ1つ。カードがたまると特典 | 毎日のコーヒーのように、来店ごとの客単価が近い場合 | エスプレッソ1杯の人も、朝食セットを頼む人も同じ扱いになる |
| ポイント | 金額に応じてポイントを付与し、商品と交換 | ランチや持ち帰りのコーヒー豆など、客単価の差が大きい場合 | レジでの説明に手間がかかり、お客さまがあとどれくらいか把握しにくい |
| 有料会員 | 月会費と引き換えに、割引や毎日1杯のコーヒーなど決まった特典 | 近くのオフィスなど、顔ぶれがとても安定している場合 | 来店が少ない会員は損をした気分になり、来店が多い会員だとコストはお店の負担になる |
街のカフェなら、まずはスタンプカードから始めるのがよいでしょう。一言で説明でき、お客さまもあといくつか一目でわかります。さらに、このあと紹介する実地研究もこの形式で行われています。
スタンプの数
スタンプの数は、常連のお客さまの来店頻度と、カードを完成させるまでにかけてほしい期間から決めます。何か月もかかると、特典にたどり着く前にカードのことを忘れてしまいます。
仮の数字で考えてみます。常連のお客さまが週3回来るなら、スタンプ10個のカードは3週間あまりで完成します。週1回の来店なら同じカードに2か月以上かかるため、そうしたお客さまには短めのカードが向いています。
Kivetz、Urminsky、Zhengは、米国東海岸のある大学のキャンパス内にあるカフェで、「コーヒー10杯で1杯無料」のプログラムを調べました。スタンプは来店1回につき1つです。交換された949枚のカードと約10,000件の購入を分析したところ、会員は無料の1杯が近づくにつれて、より頻繁に買うようになっていました。購入と購入の間隔は、最初と最後で平均20%短くなっています(Kivetz、Urminsky、Zheng、Journal of Marketing Research、2006年)。カード1枚を完成させるのにかかった期間は、平均で25日近くでした。
難しいのは、ゴールが遠く見える最初の段階です。常連のお客さまが数週間で完成できる数にするのが、ひとつの目安です。
無理なく出せる特典
特典は、用意するのにかかる原価で計算します。そうすれば、お客さまが使った金額のうちどれだけを還元しているかがわかります。
仮の数字で考えます。コーヒーの価格がUSD 3、原価がUSD 1だとします。スタンプ10個なら、お客さまはUSD 30を使い、お店は原価USD 1のものを渡すことになります。USD 4で売っていて原価がUSD 2のケーキ1切れなら、お客さまにとっての価値は同じくらいでも、お店の負担は2倍です。
価値が近い2つの特典から選んでもらう方法もあります。研究の対象になったカフェでは、会員はコーヒーか、同じ価格のベーカリー商品(ビスコッティ、クロワッサン、マフィン)と交換でき、交換の85%がコーヒーでした。お客さまがふだん買っているものを特典にすると、その習慣がさらに強まります。大きいサイズをサービスしても、コストはそれほど増えないことが多いです。
購入条件のルール
ルールはポスター1行に収まる長さにします。次のルールで、レジでの疑問はほとんど解決します。
- 来店1回につきスタンプ1つ。 オフィス全員分をまとめて注文して、1回でカードを埋めるのを防げます。
- 対象になる購入。 たとえば、作るドリンクならスタンプがつき、ボトルの水はつかない、といった決め方です。
- 特典にはスタンプがつかない。 無料のコーヒーでカードが完了し、次のカードは次回の購入から始まります。
- 有効期限(設ける場合)。 カードに期限があるなら、渡すときに伝え、ポスターにも書いておきます。
レジでの始め方
プログラムはお客さまが支払うレジで始めます。最初の1週間は次のように進めます。
- レジの横に、ルールを一言で書いたポスターを置きます。デジタルカードなら、登録用のQRコードも載せます。
- 会計のたびに使う決まり文句をスタッフに用意します。たとえば「スタンプカードはお作りしますか?10個でサービスがあって、今日はウェルカムスタンプを2つお付けします」。
- スタンプを先に押した状態でカードを渡します。10個のカードに2つプレゼントすれば、お客さまの購入は8回で、8個のカードと同じですが、すでに進んだ状態から始まります。
- お客さまが思い出したときだけでなく、毎回の購入でカードやコードの提示をお願いします。
最初にスタンプを付ける効果には裏づけがあります。同じカフェで、108人のお客さまに、スタンプ10個のカードか、2つプレゼント済みの12個のカードを無作為に配りました。どちらも必要な購入は10回です。プレゼント付きのカードを受け取った人は13日足らずで完成させ、もう一方のグループは16日近くかかりました。NunesとDrèzeも、洗車場の300人のお客さまで同じような結果を確認しています。スタンプ2つが押された10個のカードは、8個のカードより完成する割合が高く、完成までも早かったのです(NunesとDrèze、Journal of Consumer Research、2006年)。Knowledge at Whartonによると、お店がプレゼントの理由を示したときに効果が強まりました。そのため「ウェルカムスタンプ」と呼ぶのがおすすめです。
Club Cardのようなデジタルカードなら、お客さまはお店のQRコードを読み取って登録し、カードがGoogle WalletかApple Walletに入ります。バリスタはお店のスマートフォンでお客さまのコードを読み取ってスタンプを押します(プランを見る)。こうしたパスの仕組みは店舗向けGoogle WalletとApple Walletのガイドで説明しています。
効果の測り方
紙のカードではデータがほとんど残らず、わかるのは完成して戻ってきたカードだけです。デジタルカードはスタンプを日付とともに記録するので、毎月3つの数字を確認できます。
- 再来店したお客さま。 その月に2回以上来店した会員の数を、前月と比べます。
- カード完成までの期間。 想定よりかなり長いなら、カードが長すぎます。
- 特典の交換数。 使い始めたカードのうち、何枚が交換まで進んだかです。ほとんど届かないなら、スタンプの数か特典を見直しましょう。
交換後の動きも見ておきましょう。研究のカフェでは、カードを1枚完成させて2枚目を始めた110人の会員は、2枚目の最初の数回は購入のペースが落ち、その後また上がりました。1枚目の特典に向けて大きくペースを上げた人ほど、2枚目の特典も獲得しやすい傾向がありました。新しいカードの最初の数回の来店は、とくに気を配りたい時期です。この時期のアイデアはお客さまにまた来てもらう方法にまとめています。
よくある質問
コーヒーのスタンプカードはいくつにすればいいですか?
常連のお客さまの来店頻度によります。数週間で完成できる数を選びましょう。紹介した研究のカフェでは、コーヒー10杯でした。
最初にスタンプをプレゼントしたほうがいいですか?
はい。上で紹介した研究がそれを裏づけています。実際に必要な購入回数は変えずに(たとえば10個のカードに2つプレゼント)、プレゼントの理由を添えましょう。
Googleの口コミと引き換えにスタンプを渡してもいいですか?
いけません。Googleマップのコンテンツポリシーでは、割引や無料の商品など、口コミの投稿と引き換えに見返りを提供することを禁じています。口コミをお願いするのは問題ありませんが、特典は付けないでください。
紙のスタンプとスマートフォン、どちらがいいですか?
紙は始めるのは安いですが、なくなりやすく、効果を測れません。各方式の費用はデジタルスタンプカードとは:仕組みと費用で比べています。
出典
- The Goal-Gradient Hypothesis Resurrected、Kivetz、Urminsky、Zheng、Journal of Marketing Research
- The Endowed Progress Effect: How Artificial Advancement Increases Effort、NunesとDrèze、Journal of Consumer Research
- The Lowdown on Customer Loyalty Programs、Knowledge at Wharton
- Contenido prohibido y restringido、Googleマップ ヘルプ